■ はじめに:経営改善計画は“再建”だけのツールではない

経営改善計画と聞くと、
「返済緩和」「資金繰りの改善」「赤字からの脱却」
といった“守りの再建支援”のイメージが強いかもしれません。

しかし、近年の支援現場では、

「経営改善計画 × 補助金 × 融資」
の連携が非常に効果を発揮しています。

理由は簡単。
再建に必要なのは“守り”だけではなく、
設備投資・事業改革・販路開拓など、将来の成長戦略が欠かせないからです。

そのため、経営改善計画を土台に「補助金」と「融資」を組み合わせると、
再建のスピードと確実性が大幅に向上します。


■ 補助金・融資連携が重要な理由

① 再建の実行力が上がる

改善計画で示した

  • 粗利改善
  • 生産性向上
  • 業務効率化
    などの施策を、補助金や融資で実際に投資できるため実現性が高まる。

② 銀行の評価が上がる

経営改善計画に基づく成長投資は、
“事業性評価”においてプラス評価となり、
追加融資の支援が受けやすくなります。

③ 補助金審査で有利

補助金の審査で重視されるのは、

  • 数字の根拠
  • 実現可能性
  • 投資効果
    経営改善計画の中で整理したロジックを転用できるため、採択率が向上します。

■ 補助金連携に最も相性の良いタイミング

次のタイミングが最適です。

  1. 計画策定後の「改善方針」と「投資計画」が固まった段階
  2. 405事業のデューデリ・計画策定で課題が明確になった直後
  3. 早期経営改善計画で“見える化”ができた時
  4. 金融機関との協議で「設備投資も検討しましょう」と言われた時

補助金は単なる助成金ではなく、
計画の実現を早める成長エンジンになります。


■ 経営改善計画と特に相性の良い補助金

🔵1.中小企業省力化投資補助金(一般型)

  • 生産性向上・業務効率化に強い
  • 脱外注・粗利改善など「再建型の設備投資」に最適
  • 計画に沿った根拠づくりが採択率向上につながる

🔵2.ものづくり補助金

  • 新技術・新サービスに対応
  • 再建の中でも“攻めの投資”がある場合に最適
  • 計画書の「ビジネスモデル俯瞰図」と親和性が高い

🔵3.事業再構築補助金(新事業進出補助金)

  • 大きな事業転換を伴う再建に有効
  • 経営改善計画で“再建の必然性”を説明できると強い
    (現在は小規模事業者向け枠やグリーン枠中心)

🔵4.小規模事業者持続化補助金

  • 販路開拓・販売改善に有効
  • 経営改善計画の「売上改善策」を具体化できる

🔵5.自治体の設備投資系補助金

  • 都道府県の省エネ補助金・設備投資補助金
  • 計画の“コスト削減策”に連携しやすい

■ 融資連携で効果が出るタイミング

✔ リスケ(条件変更)と同時に「追加資金」が必要な時

例:

  • 在庫を減らすための仕入資金
  • リスケ後の資金繰り安定化のための運転資金

✔ 新規事業の初期費用が必要な時

  • マーケティング費用
  • 人材採用費
  • 設備導入資金

✔ 設備投資を行う際の“自己負担分”確保

補助金を使っても自己負担が必要なので、
融資とセットで考える必要があります。


■ 連携の流れ(実務版)

実務では、次のようなステップで進めるのが最もスムーズです。


📍 STEP1:経営改善計画で課題と投資方針を整理

・粗利改善
・省力化
・売上構造の改善
など、課題と対応策を明確にする。


📍 STEP2:投資内容を補助金に落とし込む

  • どんな設備
  • どんな効果
  • どんな数値改善
    を、補助金仕様に書き換える。

📍 STEP3:補助金採択後、金融機関と融資組成

銀行は「補助金採択=国のお墨付き」と評価するため、
非常に融資が通りやすくなります。


📍 STEP4:実行計画を伴走しながら管理

・補助金の報告
・経営改善計画のモニタリング
・金融機関への進捗説明
これらを定期的に行う。


📍 STEP5:経営改善 → 成長路線へ

省力化・粗利改善・売上改善の効果が半年~1年で現れ、
経営改善計画の成功確率が大幅に高まります。


■ 事業者にとっての効果まとめ

効果内容
経営改善の実現速度が上がる設備投資により改善策が早く効果を発揮
金融機関の支援が強くなる事業性評価が上がり追加融資が受けやすい
補助金と融資のリスクを下げられる計画をもとに根拠ある申請ができる
成長戦略に踏み出せる再建→成長への転換点をつくれる

■ 結論:経営改善計画は「成長戦略の核」にできる

経営改善計画は、
単なる再建ツールではなく、

✔ 補助金
✔ 融資
✔ 成長戦略
をつなぐプラットフォーム

として活用できます。

特に、
405事業 → 補助金 → 成長投資 → 追加融資
という流れは、多くの企業で成果を出しています。

経営改善の成功は、
“再建 × 成長”を両輪で回した企業にこそ訪れます。