■ はじめに

本記事では、
食品メーカーがいま最も取り組むべき
「資金戦略」=お金の流れをデザインする方法
をわかりやすく解説します。

結論から言うと、
食品メーカーの資金戦略は以下の3つの柱で構成されます。

① 補助金(省力化補助金 / 農水省補助金)
② 銀行融資(つなぎ融資+長期融資)
③ 経営改善計画(405事業)

この三本柱を“組み合わせて”使うことこそ、
少ない自己資金で設備投資を実行する最も現実的な方法です。


■ 1. 食品メーカーの資金戦略は「3つの資金」を組み合わせること

食品メーカーは、他の業種と比べて
設備投資の金額が大きい
という特徴があります。

・充填機、包装機
・冷凍・冷蔵設備
・急速冷凍設備
・計量機、X線検査器
・蒸気設備、ボイラー
など、数百万円〜数千万円が当たり前です。

この投資を自己資金だけで行うのは現実的ではありません。

だからこそ
補助金 × 融資 × 計画(405事業)
の三位一体の戦略が必要になります。


■ 2. 「補助金」は自己資金を最小限にする“助走資金”

食品メーカーが活用しやすい補助金は次の4つです。

● 経産省

  • 省力化投資補助金(一般型)
    → 自動化・省人化・生産性向上に直結
    → 包装、計量、盛付、搬送など食品設備は相性抜群

● 農水省

  • 産地連携緊急対策事業
    → 原料調達〜加工までの「食品バリューチェーン強化」
    → 野菜・果実・畜産・水産などの原料連携に強い
  • HACCPハード事業
    → 衛生管理・品質管理の更新、輸出対応
  • 強い農業づくり交付金
    → 加工・流通・産地整備を含む幅広い設備投資が対象

補助率のイメージは以下。

省力化投資補助金 :1/2〜2/3
産地連携緊急対策:1/2
HACCPハード事業:1/2
強い農業づくり交付金:1/2

食品業界に最適化された補助金が多いため、
投資金額の半分を国が負担することも十分に可能です。


■ 3. 銀行融資は「つなぎ融資」と「長期融資」の二本柱

補助金は採択されても「すぐお金が入るわけではありません」。

つまり設備導入時の支払いは
一度企業が立て替える必要があります。

そこで使うのが

  • つなぎ融資(短期)
  • 設備資金(長期)

です。

● つなぎ融資が重要な理由

補助金は
「設備導入 → 設置完了 → 実績報告 → 精算」
の流れで支払われるため、
半年〜1年以上かかることもあります。

つなぎ融資がなければ、
「補助金があるのに設備が買えない」
という逆転現象が起きます。

● 長期融資が重要な理由

設備は5〜10年で償却するため、
長期融資で返済負担を平準化します。


■ 4. 405事業(経営改善計画)は“銀行に信用してもらうための土台”

食品メーカーが最も誤解しているのが、
405事業は経営悪化企業の制度
という認識です。

実際には全く逆です。

405事業は
「金融機関と協調して設備投資を進めるための事業計画」
として非常に有効です。

✔ 405事業で得られる効果

  • 銀行が“前向きな融資”として判断しやすい
  • 事業計画の信頼性が高まる
  • 設備投資の根拠が明確になる
  • 政策金融と協調融資しやすい
  • 補助金と並行して進められる

特に食品メーカーでは、
405事業 → 補助金 → 融資実行
という流れが成功パターンです。



■ 5. “お金の流れをデザインできる会社”が勝つ

補助金申請だけを行う会社は数多くあります。

しかしスリーウェイのモデルは
補助金 → 融資 → 経営改善 → 設備投資 → 生産性向上 → 再投資
という“循環の仕組み”をつくる点に特徴があります。

食品メーカーがいま求められているのは
単発の補助金ではなく
**「投資を続けられる企業体質」**をつくること。

そのために資金戦略は不可欠です。


■ まとめ

食品メーカーの資金戦略とは、
補助金 × 融資 × 405事業 の三位一体モデルです。

これにより、

  • 自己資金を最小限に抑え
  • 設備更新を毎年計画的に行え
  • 生産性向上を継続でき
  • 原価高騰・人手不足に強い体質をつくれる

という「勝てる構造」が生まれます。