新型コロナウイルスの影響で経営環境が大きく変化し、中小企業は人手不足、賃金の引き上げ、原材料費の高騰など、さまざまな課題に直面しています。
こうした状況を受けて、政府や信用保証協会、日本政策金融公庫(日本公庫)は、2025年以降の資金繰り支援制度を見直し、拡充します。
この新たな支援制度は、企業の経営改善や成長を支えることを目的としており、資金繰りに困っている企業にとっては、非常に有益な制度となります。本記事では、今後利用可能な支援メニューをまとめ、どのような支援が受けられるのかをご紹介します。

1. 資金繰り支援の概要

2025年から始まる新たな支援制度は、特に経営改善を重視した内容に変更されています。具体的には以下のような施策が導入されます。

協調支援型特別保証の新設

新設される「協調支援型特別保証」は、民間金融機関のプロパー融資(信用保証協会を介さない融資)と信用保証付き融資を組み合わせて、企業の資金調達を支援します。
これにより、金融機関の役割が強化され、企業の経営課題に対して柔軟に対応することが可能になります。
保証上限は最大2.8億円で、保証割合は80%です。運転資金については1年以内、設備資金については3年以内の据置期間が設定されています。

経営改善・再生支援保証の強化

従来の「経営改善サポート保証(コロナ対応型)」は2025年3月末で終了し、これに代わって「経営改善・再生支援強化型」が導入されます。
この新しい保証制度では、経営改善や再生計画を策定し、その計画に基づいて借換え支援が行われます。
保証上限は2.8億円、保証料率は0.3%、最大3年間の据置期間が設定されています。

2. 日本公庫による支援

日本公庫では、引き続き企業の支援を強化します。具体的な支援内容は以下の通りです。

資本性劣後ローンの拡充

日本公庫が提供する資本性劣後ローンは、2025年2月末までコロナ対応型として実施され、その後は通常の資本性劣後ローンに移行します。
これにより、省力化投資や成長を目指す事業者も対象に追加され、融資上限は中小事業で最大15億円、国民事業で最大7,200万円となります。赤字企業には低金利(0.5%)、黒字企業には3%台の利率が適用されます。

セーフティネット貸付の金利引き下げ措置

原油価格や資材費の高騰が企業の利益率に影響を与えている中、小規模な企業向けに金利引き下げが行われます。
基準金利から0.4%引き下げられ、企業の負担が軽減されます。セーフティネット貸付は2025年3月末まで延長され、融資上限は中小事業で7億2,000万円、国民事業で4,800万円です。貸付期間は設備資金が最大15年、運転資金は最大8年、据置期間は最大3年です。

小口零細企業保証の継続

従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の企業を対象に、最大2,000万円の100%保証が提供されます。
既存の100%保証融資を借換えすることも可能で、小規模事業者にとって非常に有利な制度となります。

3. 経営改善計画策定支援

経営改善を目指す企業向けに、経営改善計画策定支援が強化されます。
国が認定した専門家(税理士や中小企業診断士など)や特定の金融機関が、企業の経営改善計画の策定をサポートし、支援にかかる費用の2/3を補助します。
この支援は、2028年1月末まで延長されますので、経営改善を進める企業にはぜひ活用していただきたい支援です。

4. 経営者保証不要の取り扱い

融資を受ける際に、経営者が連帯保証人となる「経営者保証」の必要がない場合もあります。
一定の条件を満たすことで、経営者保証を不要にすることが可能です。代表的な条件は以下の通りです。

  • 金融機関連携型:特定の金融機関が提供する無担保融資など、信用保証協会の保証なしで融資を受ける場合、経営者保証が不要になります。
  • 財務要件型:企業が一定の財務基準を満たすことで、経営者保証が不要になります。
  • 担保充足型:法人または経営者が所有する不動産で十分な保全が確保される場合、経営者保証が不要になります。
まとめ

2025年からの中小企業向け資金繰り支援制度は、企業の経営改善と成長を支援するために大きく強化されました。
新たに導入される協調支援型特別保証や経営改善・再生支援強化型、資本性劣後ローンの拡充など、企業の多様なニーズに応じた支援が提供されます。
また、経営改善計画策定支援の延長や経営者保証不要の取り扱いなど、企業にとって有利な条件も整備されています。

これらの支援制度を上手に活用することで、中小企業は経営の安定化や成長に向けた大きな一歩を踏み出すことができるでしょう。
申請手続きは早めに行うことが重要ですので、支援を受ける準備を進めていくことをおすすめします。