~組織力を高める4ステージのマネジメント手法~

はじめに

組織が成果を上げるためには、個々のスキルだけでなく「チームとしての成熟度」が不可欠です。しかし、チームは自動的に機能するものではなく、成長の過程でさまざまな課題に直面します。

そうしたチーム成長を段階的に捉え、最適な支援を行うためのフレームワークが「タックマンモデル」です。本記事では、タックマンモデルの基本からビジネスでの実践活用法、改善施策までを図解とともに解説します。


タックマンモデルとは?

タックマンモデルは、アメリカの心理学者ブルース・タックマンが1965年に提唱した理論で、チームの成長過程を4つのステージに分類したものです。

チーム成長の4ステージ(タックマンモデル)

形成期(Forming) → 紛争期(Storming) → 統一期(Norming) → 成熟期(Performing)

各ステージの特徴とマネジメントのポイント

1. 形成期(Forming)

状態:初期段階。メンバー同士が探り合い、関係構築を始める
課題:目的や役割の不明瞭さ、心理的距離感
支援策

  • チームのビジョン・目的を明確に共有
  • アイスブレイクや自己紹介で関係構築を促進
  • 心理的安全性の確保

2. 紛争期(Storming)

状態:意見の対立や摩擦が顕在化
課題:役割分担の混乱、信頼関係の未形成
支援策

  • 建設的な対話の場を設ける
  • 対立の背景を探り、ファシリテーションを強化
  • チームの目標を再確認し、共通理解を促進

3. 統一期(Norming)

状態:共通認識が生まれ、協力体制が確立
課題:継続的な信頼構築と役割の明確化
支援策

  • チームルールや業務フローの整備
  • 成功体験の共有による一体感の醸成
  • メンバーの自律性を尊重し、フォローアップを適度に行う

4. 成熟期(Performing)

状態:自律的に機能し、高パフォーマンスを発揮
課題:挑戦意欲の維持と次なる成長機会の提供
支援策

  • 挑戦的な目標の設定と支援
  • 過度な介入を避け、メンバーの裁量を尊重
  • キャリア支援やスキルアップ機会の提供

なぜ今、タックマンモデルが注目されるのか?

近年、リモートワークフラットな組織構造の普及により、従来以上にチーム運営の難易度が高まっています。
その中で、タックマンモデルはチームの状態を可視化しやすく、適切な対応をとりやすいという点で、多くの企業で導入が進んでいます。

特に注目される背景:

  • 心理的安全性・エンゲージメントの重要性が高まった
  • ハイブリッドワークでのチーム連携強化が課題に
  • プロジェクト型組織の増加による流動的なチーム編成

タックマンモデル活用のメリット

項目内容
チームの見える化現在の状態や課題を把握しやすい
成長支援各ステージに適した施策を講じやすい
衝突の予防紛争期に備え、早期の調整が可能
パフォーマンス向上成熟期の高効率な活動へ導ける

状態把握のためのチェックポイント

チェック項目内容
コミュニケーション会話の頻度、質、オープンさは?
目標・役割の明確さ何をすべきか全員が理解しているか?
協調性・信頼感意見の違いを受け入れられているか?
パフォーマンス成果物の質・納期・貢献度など定量指標
満足度帰属意識、関係性、仕事の満足感など

チームの成長を支援する施策

以下のような施策を段階的に導入することで、チームのスムーズな成熟を支援できます。

  • チームビルディング研修の実施:形成・紛争期に効果的
  • コミュニケーションツールの最適化:情報共有の活性化
  • ビジョン・目標の再共有:統一期以降に明確化を図る
  • 1on1ミーティングの導入:心理的安全性の土台づくりに
  • スキルアップ支援:個々の成長がチームの成長に直結
  • コンフリクトマネジメントの整備:対立が前向きな議論になるよう設計

まとめ:タックマンモデルを組織の成長戦略に

タックマンモデルは、単なる理論ではなく実務に落とし込める実践的なフレームワークです。
チームの状態を定期的に見直し、それぞれのステージに適した施策を講じることで、チームの潜在力を最大限に引き出すことが可能になります。

変化の激しいビジネス環境において、個人の力だけでなく「チームとしての成熟」が競争力の鍵です。
タックマンモデルを活用し、組織の未来を強固なものにしていきましょう。